2015/03/15

長崎弁の話 その11。 ~オノマトペのような長崎のことば「えんえん」~

約1ヶ月ぶりの更新になってしまいました。前回の更新以降、ブログを書く時間をなかなか確保できずにいましたが、また色々書き始めています。さて、今回は長崎弁の話をします。

ある日、長崎の実家へ帰っていた時のこと。家族で食事に行った後の帰り道でのやりとり(もちろん長崎弁ですよ!)。


僕:「僕が子供ん頃は家の近くばよく散歩しよったね」

父:「そうねー、よう一緒に歩いてたな。お前が子供ん頃、父さんは『えんえんして』ってあんまり言われんやったぞ」

僕:「本当ね?子供の頃のことけんがほとんど覚えとらん」

母:「お父さんがえんえんしたりとんきゃんきゃんしながら帰ってきたところはあんまり見たことなかよ」

僕:「へー、そうやったとねー…」


このやり取りの中に、今回紹介することばがあります。そのことばは、「えんえん」。まるでオノマトペのようなことばですが、そうではありません。一体どういう意味か、まずは上の会話をヒントに考えてみて下さいね。

…と言われても何のことかさっぱり、という方は、以前紹介した長崎のことば(「ずっきゃんきゃん」)をヒントに考えたらお分かりになるかもしれません。

さて、「えんえん」の意味は分かりましたか?


長崎のことばで「えんえん」は、「おんぶ」のことをいいます!「おんぶ」という言葉は、「背負う」の幼児語です。何と、長崎弁の語彙にも幼児語があるんですね。これは僕自身にとっても意外な気づきでした。

ちなみに、上のやり取りを標準語にすると…


僕:「僕が子供の頃は家の近くをよく散歩していたね」

父:「そうだね、よく一緒に歩いてたな。お前が子供の頃、父さんは『おんぶして』ってあんまり言われなかったぞ」

僕:「本当?子供の頃のことだからほとんど覚えてない」

母:「お父さんがおんぶしたり肩車しながら帰ってきたところはあんまり見たことないよ」

僕:「へー、そうだったのね…」


という会話になります。

「えんえん」ということばは、僕が子供の頃、主に両親や祖父母との会話で耳にしたり使ったりしていましたが、今は耳にする機会も使う場面もほとんどなくなってしまいました。「えんえん」の他には、「とんきゃんきゃん」もそうです。そのためかもしれませんが、この2つのことばには、どこか懐かしい響きがするのです。

今回のブログを書いていて、昔は使っていたけれど、今はほとんど使うことがなくなったことばにも、またいつか触れてみたいなと思うようになりました。機会があれば、また紹介します。