2016/05/01

お気に入りの場所 その2。 ~長崎のまちを一望できる場所、鍋冠山展望台~

気付けば前回からかなり間隔が空いてのブログ更新となりました。以前のようなペースで更新できるかどうか分かりませんが、これからもマイペースで続けていけたらと思います。

4月、長崎市にある鍋冠山公園の展望台がリニューアルしました。以前、ブログに書いた風頭公園からの景色はもちろんですが、長崎のまちをぐるりと眺めることができる鍋冠山からの景色もかなり好きな場所です。

久々に鍋冠山展望台からの景色も観てみたいと思い、先日展望台へ行ってきました。今回は、鍋冠山展望台からの眺めの魅力をお伝えできたらと思います。

その前に、リニューアル前の展望台についても少し触れておきます。下の写真が、リニューアル前のもの。


これは去年の夏に撮影したときのものです。展望台の真下のベンチが憩いのスペースになっていて、ピクニックがてらに休憩しつつ眺めを満喫するという楽しみ方も。

では、リニューアルした展望台は…こちら!


まだ新しくなってから間もないこともあり、駐車場等が整備中となっているところもありますが、展望台については以前のものと比べてもかなりスケールアップしています。ちなみに、展望スペースについては何と、約4倍の広さに!また、写真からは分かりづらいですが、階段を上ってすぐのところにトイレが新設されています。

訪れたのはお昼前頃だったのですが、僕が展望台に到着した時には観光や家族連れの方などがたくさん。これは、去年訪れたときとは、異なる光景。来られていた方もきっと、リニューアルを心待ちにしていたのでしょう。

ではでは、展望台からの眺めは…




展望台からは長崎の街を360度見渡すことができるのですが、眼下に広がる長崎港の眺めは圧巻!思わず、ずっと眺め続けていたくなるほど。そして、長崎港から女神大橋側へ目を向けると、伊王島大橋が。ちなみに、天気が良いと端島(軍艦島)を観ることができます。訪れたときには、まだ青空が広がる前だったため、ぼんやりと見える程度でした。また、大浦・愛宕・小島方面の眺めからは、長崎独特の地形や町並みが感じられます。

鍋冠山展望台からの眺めの魅力は、長崎の港や特徴豊かな町並み、景色を一度に楽しめること。しかも、標高も風頭山とあまり変わらないため(169m)、気軽に訪れることができます。 大浦天主堂やグラバー園から歩いていくことが十分可能なので、大浦・南山手地区を散策される際には足を運んでみてはいかがでしょうか。

2015/07/30

長崎弁の話 その17。 ~夏場ならでは?「ぬっか」という方言~

昨日、九州北部地方もついに梅雨明けが発表されましたね。

今でも気温が高い日が続いていますが、夏はまだまだこれから。僕が住んでいる佐世保の今日の天気は、晴れ。いつものように職場へ向かおうと家のドアを開け、外に出て思わずつぶやいたひとこと。

「今日もぬっかねー…」

この季節になると、「ぬっか」ということばをあちこちで耳にするようになります。日常の会話が、まずこのひとことから始まる、なんてこともよくあります。


 「朝からぬっかですね」(朝から暑いですね)

「ぬっかね~、夏の畑仕事はだんじゃなかよ」 (暑いねー、夏の畑仕事は大変だよ)


…といった感じです。
 
「ぬっか」は、長崎で使われる方言なのですが、「暑い」という意味で使われます。長崎に住んでいる方なら、ついつい口に出してしまったり、心の中で浮かぶことばではないでしょうか。

ちなみに、「ぬっか」にはちょっと違う意味があります。「暖かい」という意味でも使われることがあるんです。 たとえば、「こたつん中のぬっかね」という場合。この文章を標準語にすると、「こたつの中が暖かいね」となります。冬場や春先の「ぬっか」はこの意味の場合がほとんどだと思います。

「暑い」と「暖かい」。意味はそれぞれ異なりますが、どちらも「ぬっか」ということばで表現するところに方言の面白さを感じます。

もちろん、方言以外にも身近なことばに考えをめぐらせてみるのも、やってみると新しい気づきがありますよ。

2015/07/10

長崎弁の話 その16。 ~忙しいとついつい使ってしまう?長崎の方言「だんじゃなか」~

当ブログですが、現在は月2回のペースで更新しています。先月は主に仕事で忙しくなったこともあり、「6月は1回しか更新していないのでは…?」と思っていたら2回の更新。相変わらず地味に続いています。

更新は続いているものの、「次はどんな長崎の方言をチョイスしよう?いや、そろそろ次は話題を変えようか?」と考える時間は7月に入ってからもあまりなく、次の内容を決めかねている状態で飛び出した一言。

「まだ何ば書こうか考えるだんじゃなかね~…」

「だんじゃなか…?って長崎弁たい!今回はこれにしよう!」ということで何とテーマが決定。
今回は「だんじゃなか」ということばを紹介します。 ということで、まさかまさかの完全に思いつき(!)です。

さて、このことばは「~をする状態ではない」という使い方をしたり、「大変だ」とか「忙しい」という意味合いで使われたりします。

なので、上のテーマ決定のきっかけになった一言を標準語にすると、「まだ何を書こうか考える状態ではないな~…」となります。

「だんじゃなか」は下のようなやり取りで耳にすることも…?たとえば…


母:「宿題はもう済んだと?」(宿題はもう済んだの?)

子:「いや、まだいっちょんしとらん!」(いや、まだ全然してない!)

母:「宿題ばしとらんとにゲームばしよるだんじゃなか!」 (宿題をしてないのにゲームをしている場合じゃないでしょ!)

子:「えー、あとちょっとけん待ってさ!」(えー、あとちょっとだから待ってよ!)

母:「よかけんはよ宿題ばせんねー!」(いいから早く宿題をしなさいー!)


…といったやり取りの中で出てきたり、ちょっとした雑談の中で出てきたり…。「だんじゃなか」は、日常の会話でもたまに耳にしたり使ったりすることのあることばですが、仕事の繁忙期などの理由で忙しくなると、その頻度が増えることがあるかもしれません。「忙しいから、ついつい使ってしまう…」なんてことも。

ということで、今回もまた長崎弁の話でした。そろそろ長崎弁以外の話題も、ですね。

2015/06/27

長崎弁の話 その15。 ~電話に出らん…?・後編~

前回の続きになる、長崎弁の話。「出る」という動詞の活用形(未然形)が「出らん」という独特な変化をすることを紹介しました。そして、他の活用形でも長崎方言特有の変化があることにも触れたところで、前編は終了しました。今回は、後編です。

早速、ちょっとしたやり取りを例に紹介していきます。


A:「集合時間になったけど、C君がまだ来ないね。連絡はあった?」

B:「さっきも電話したばってん、いっちょん電話に出らんばい。」

 (ここまで、前回のやり取りと同じです)

A:「一体どうしたのかな、とりあえずもう少し待ってみよう。」

20分後…

C:「遅くなってごめん!寝坊してしまった!」

B:「なんやー、心配したばい。それに電話ぐらい出れさー。」(何だー、心配したよ。それに電話ぐらい出ろよー。 )

A:「僕も心配したよ。でもこれで何とか電車には乗り遅れずに済むね。」


それでは、今回もB君の一言に注目。命令形の活用が標準語と異なっていますね。長崎の方言では、「出ろ」ではなく「出れ」という活用になるのです。

他にも、「着る」、「起きる」、「見る」などでもやはり同様の現象が起こり、「着る」→「着れ」、「起きる」→「起きれ」、「見る」→「見れ」となります。

さて、前回と今回紹介している動詞の活用形の変化ですが、これは一部の動詞でしかみられないということも話しました。では、一体どんな動詞が当てはまるのかというと…

たとえば、先ほど紹介した「着る」。これは当てはまるのですが、同音異義語の「切る」はそれが当てはまらないのです。一体なぜか。「着る」と「切る」の活用の違いが重要なポイントになります。

その違いについてみていくと、「着る」の活用は「上一段活用」ですが、「切る」の活用は「五段活用」です。「切る」の未然形は「切らん」、命令形は「切れ」となります。さて、ここで思い出して下さい。長崎の方言では、「着る」の未然形が「着らん」、命令形が「着れ」になります。つまり、「着る」の未然形と命令形における活用が、「切る」の活用と全く同じになるのです。

文法的な言い方をすると、「上下一段活用の動詞での活用が、未然形と命令形でラ行五段活用になる」のです。これは、「一段活用のラ行五段活用化」と呼ばれるものです。

「出ん」が「出らん」という変化をするため、単純に未然形が「ん」ではなく「らん」を用いるだけかと思っていたら、調べてみると文法的にきちんと説明ができるとは…!方言、そしてことばの奥深さを改めて感じることになりました。

これまでの長崎弁の話の中でも最もマニアックな内容になりましたが、長崎の方言は調べてみると興味深い発見があります。皆さんも気になったことばがあれば、楽しく調べてみてはいかがでしょうか。

 ・参考文献…坂口至(1998):日本のことばシリーズ 42 長崎県のことば(明治書院) p15.

2015/06/17

長崎弁の話 その14。 ~電話に出らん…?・前編~

かなり間隔が空いての更新…。やや放置気味になってしまいすみません。

普段から何気なく使っていることばが、実は方言だった!ということに気付くたびに長崎の方言についてますます知りたくなる自分。それだけ普段から長崎弁に慣れ親しんでいるということかもしれません。

さて最近、ちょっと変わった特徴があることばの存在を知り、調べてみると文法的に興味深い内容だったので、今回はそれについて話します。

今回紹介するのは、「出る」ということばです。いたって標準語です。それに、長崎では異なる意味で使われるというわけでもないのですが、ある変化が特徴的なのです。今回は短い会話を例に説明します。


A:「集合時間になったけど、C君がまだ来ないね。連絡はあった?」

B:「さっきも電話したばってん、いっちょん電話に出らんばい。」(さっきも電話したけれど、まったく電話に出ないよ。)


さて、ここでB君の一言にご注目。かすかに違和感があるような…?ちょっと考えてみましょう。
文法的な話をしますが、動作の打消を表す助動詞(口語)には「ない」・「む(ん)」・「まい」があります。そして、これらの助動詞は、動詞の未然形に付きます。

ということは、標準語ならば「出ん」という活用になるはず。ところが、先ほどの会話では「出らん」という活用になっています。そう、これが長崎弁の特徴のひとつ。一部の動詞で、活用形によって活用が変わる現象がみられるのです。

ちなみに、「出る」の他には「着る」、「起きる」といった動詞などでも同じ現象がみられ、「着る」→「着らん」、「起きる」→「起きらん」、という活用になります。

ちょっと不思議な活用の変化ですが、「出る」や「着る」、そして「起きる」などの動詞は未然形以外でも特徴的な変化をします。一体どう変化するのか、ということについてはまた次回話したいと思います。

 ・参考文献…坂口至(1998):日本のことばシリーズ 42 長崎県のことば(明治書院) p15.

2015/05/24

長崎弁の話 その13。 ~「すーすーする」ってどういう状態??~

5月下旬の長崎。あちらこちらでアジサイがまちを彩り始め、いよいよ夏が訪れようとしています。衣替えを済ませた人も、きっとたくさんいるはず。

それでも、朝はまだ「すーすーする」日が続いています。目を覚ました時の最初のひとことが、「あー、何かすーすーする」なんてことも。

ということで、突然謎のことばが登場しました。「すーすーする」って…?何かの擬音語のようですが、これも長崎で耳にすることばの一つ。

「すーすーする」は、風が吹いて肌寒い様子を表すときに使います。気のせいかもしれませんが、5月頃や9〜10月頃には耳にする機会が多いことばです。

ということで、今回は久々の長崎弁の話でした!
朝「すーすーする」日はもう少し続きそうですので、どうか体調を崩されないようお過ごし下さいね。

2015/05/20

長崎の春の風物詩「長崎ハタ揚げ大会」レポート・後編

こんにちは、前回に引き続き「長崎ハタ揚げ大会」の様子を紹介していきます。前回は空中テープカットが行われたところなどをお伝えしました。今回は、大会のメインイベントとも言える競技ハタのことを紹介したいと思います!

凧揚げ競技と聞くと、凧をより高く揚げたかどうかを競うものと思われるかもしれませんが、長崎凧の競技は、それとは異なります。1対1で、相手の凧の糸を切り合う競技なのです!そのため、喧嘩バタと呼んだりもします。

糸を切り合うと書きましたが、なぜ糸が切れるのかというと、競技用の糸にはガラスの粉が刷り込まれているからです。この糸のことを、「ビードロヨマ」と呼びます。また、ハタの大きさも通常の物(16文ハタ)より大きいハタ(20文ハタ)を使用します。ちなみに、20文ハタのサイズは縦80cm、横96cmです。

競技ハタの試合は、午前中に予選が行われ、それに勝ち抜いた選手4名が午後からの決勝トーナメントに進む方式です。今回僕が観たのは、午後からの決勝トーナメント。

さて、競技ハタの見どころは、何と言っても1対1での駆け引きにあります!相手の糸を切るためにどうやって勝負を仕掛けていくか、また、仕掛けられた時に勝負に出るか、はたまた上手に躱していくか、といったところに勝負の面白さがあります。

今回は決勝戦の様子を動画でアップしています(その様子はこちらをご覧になってください)。ちなみに、今年の決勝はなんと約6分にもわたる熱戦!競技の途中途中で聴こえる観客のざわめきや歓声からも、その盛り上がりが窺えます。さすが、「長崎三大行事」!そして、決着がついたら、「ヨイヤー」の掛け声!この掛け声は、「長崎ハタ揚げ大会」、そして「長崎くんち」ならではのものです。

ハタ揚げ大会は、観るだけでも十分楽しめるので、ピクニックがてらに足を運んでみるのも良いですよ!ちなみに、凧は会場でも入手することができるので(ただし、数に限りがあるようです)、早めに会場へ来れる場合はあらかじめ用意していなくても大丈夫かと思います。

ということで、「長崎ハタ揚げ大会」レポートはここまで!今回ハタ揚げ大会を観に行ったことで、来年は観るだけじゃなく凧を揚げるという目標ができました。気が早いですが、来年が楽しみです。