2015/06/17

長崎弁の話 その14。 ~電話に出らん…?・前編~

かなり間隔が空いての更新…。やや放置気味になってしまいすみません。

普段から何気なく使っていることばが、実は方言だった!ということに気付くたびに長崎の方言についてますます知りたくなる自分。それだけ普段から長崎弁に慣れ親しんでいるということかもしれません。

さて最近、ちょっと変わった特徴があることばの存在を知り、調べてみると文法的に興味深い内容だったので、今回はそれについて話します。

今回紹介するのは、「出る」ということばです。いたって標準語です。それに、長崎では異なる意味で使われるというわけでもないのですが、ある変化が特徴的なのです。今回は短い会話を例に説明します。


A:「集合時間になったけど、C君がまだ来ないね。連絡はあった?」

B:「さっきも電話したばってん、いっちょん電話に出らんばい。」(さっきも電話したけれど、まったく電話に出ないよ。)


さて、ここでB君の一言にご注目。かすかに違和感があるような…?ちょっと考えてみましょう。
文法的な話をしますが、動作の打消を表す助動詞(口語)には「ない」・「む(ん)」・「まい」があります。そして、これらの助動詞は、動詞の未然形に付きます。

ということは、標準語ならば「出ん」という活用になるはず。ところが、先ほどの会話では「出らん」という活用になっています。そう、これが長崎弁の特徴のひとつ。一部の動詞で、活用形によって活用が変わる現象がみられるのです。

ちなみに、「出る」の他には「着る」、「起きる」といった動詞などでも同じ現象がみられ、「着る」→「着らん」、「起きる」→「起きらん」、という活用になります。

ちょっと不思議な活用の変化ですが、「出る」や「着る」、そして「起きる」などの動詞は未然形以外でも特徴的な変化をします。一体どう変化するのか、ということについてはまた次回話したいと思います。

 ・参考文献…坂口至(1998):日本のことばシリーズ 42 長崎県のことば(明治書院) p15.

0 件のコメント:

コメントを投稿