つい最近まで、長崎の方言だと思いもしなかったことばがありまして…
ある日、実家に帰省していた時のこと。父と僕との会話の一部。
父:「明日の予定はもう決まっとっとね?」
僕:「午前中は図書館に行くつもりばい。」
長崎弁でのやり取りですね。さて、ここでちょっとしたクイズを出します。
僕の一言の中にある長崎の方言は、一体何でしょうか?
とりあえず、少し考えてみて下さいね。…ではでは、お分かりになりましたでしょうか?
一つ目は、「ばい」。これはすぐに分かったのではと思います(このブログでも取り上げていることばなので、気になる方はこちらも読んでみてくださいね)。
「あれ、ちょっと簡単過ぎでは…?」と思われたかもしれませんが、長崎の方言があともう一つあります。さて、何でしょう…?
答えは、「に」。これは気づいた方とそうでない方と両方いらっしゃると思います。
前フリが長くなって恐縮ですが、今回紹介するのは、長崎弁の「方向助詞」です。標準語で方向を表す助詞は「へ」ですが、長崎の方言では「に」と「さん」が相当します。…決して、数字の話じゃないですよ!
一つ目の、「に」については、僕自身「え、これって長崎弁ね!?」と思ったほどで、むしろ標準語と勘違いしていたほど。
もう一つの方向助詞、「さん」が長崎の方言であることは知っていたのですが、僕はあまり使うことがありません。あくまで個人的な印象ですが、ご年配の方が使われているのを耳にすることが多く、どちらかいうと「さん」の方がより方言らしく感じられます。では、どう使われるかというと…
「今日はどこさんお出かけになるとね?」(今日はどこへお出かけされるの?)
「向こうさん行ったらふとか道のあるけん、すぐ分かるばい」(向こうへ行ったら大きい道があるから、すぐ分かるよ)
「さん」ということばには「敬称」のイメージがあると思うので、県外の方からすると不思議な響きを感じるのではないでしょうか。
今回紹介したことばも、頭の片隅に入れておいていただけると長崎を旅行されるときに会話のヒントになると思います。ということで、今回は方向助詞の話でした!
・参考文献…坂口至(1998):日本のことばシリーズ 42 長崎県のことば(明治書院) p23.
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