間隔がだいぶ空いてしまいましたが、2015年初めての投稿となりました。本年も当ブログをどうぞよろしくお願いします。
今回は、長崎弁の文法に関する話をしたいと思います。今回紹介するのは、助詞の「の」です。
まずここではそれについて紹介する前に、標準語で用いられる助詞の「の」について確認をしておきたいと思います。
標準語で用いられる方は、「私の本」や「父の腕時計」など、所有を表す際に使われたり(格助詞)、「あの街」、や「当の本人」、などのように体言(名詞や代名詞の類です)を修飾するために使われたりします(連体修飾語)。
小難しい話になってしまいましたが、とりあえず使い方を確認していただけたら大丈夫です。
さて、ここからが本題。長崎弁では、先ほど紹介したものとは異なる用法があるのです。では、一体どう使われるかというと…
A:「あれ?テーブルの上に置いとったケーキのいっちょん見当たらん!」
B:「あ~、さっき兄ちゃんの食べよったばい!」
青色の太字で書いてある方が標準語の用法で、赤色の太字の方が、長崎弁での用法です。この短い会話を読んでみて、後者の「の」がどう使われるか分かりましたか?
さっそく解説ですが、後者の「の」は主語に付く助詞(主格助詞)として使われるのです。これは、標準語における「が」に相当します。
先ほどの会話を標準語にすると…
A:「あれ?テーブルの上に置いていたケーキがまったく見当たらない!」
B:「あ~、さっき兄ちゃんが食べていたよ!」
となります。この主格助詞の「の」ですが、発音上の便宜の為、「ん」が使われることもあります。ここで、もう一つ例文を紹介しておきます。
「雪ん積もったら、バスの運休するかもしれん。」(雪が積もったら、バスが運休するかもしれない。)
余談ですが、僕が高校生の頃、積雪で路線バスの運行区間の一部が運休した影響で、通っていた高校が臨時休校になったこともありました。長崎市内での積雪は、公共交通機関だけでなく学校入試の開催等にも影響する場合があるので、受験が間近になると天気予報についても気が気でなかったのを覚えています。
ということで、今回の長崎弁の話はここまで。これからも時々長崎弁の文法的な話題をピックアップしていきます!
・参考文献…坂口至(1998):日本のことばシリーズ 42 長崎県のことば(明治書院) p22.
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