2014/11/07

長崎弁の話 その4。 ~「オガミタロー」って何だ?~

久々に、長崎弁の話です。今回紹介するのは、僕自身も最近まで知らなかったことば。初めて耳にしたときのインパクトが強烈で、いつか紹介したいと思っていたことばです。

そのことばとは…、「オガミタロー」

「…え、誰?」と思った方、これもちゃんとした長崎弁なんです!
と言われても、いったい何のことかチンプンカンプンですよね。
ある昆虫のことを「オガミタロー」と呼ぶのですが、一体なんだと思いますか…?





その昆虫とは…、「カマキリ」のことなんです!

あくまで推測ですが、両前足をこすり合わせる姿が、何かを拝んでいるように見えたのかもしれません。

「カマキリ」の長崎県内での呼び方については、西島宏氏(1956)によって研究がされているのですが、それによると、「オガミタロー」という方言語彙は、東彼・大村・長崎・西彼の一部に分布しているという考察結果となっていました。

それでは、他の地域ではどうかというと…ここで紹介するとキリがありません。というのも、カマキリの方言語彙が「オガミタロー」の他に少なくとも約20種類はあるためです。「カマキリ」の呼び方だけでもこんなに種類があるとは!このことにもまた驚かされました。

ちなみに、カマキリのことを英語では、“praying mantis”といいます。“pray”は、日本語で「祈る」という意味ですね。
「拝む」と「祈る」。意味が似通った2つのことば。 カマキリが両前足をこすり合わせる仕草は、外国でも「祈り」を連想させるものがあったと考えてみると、言葉の不思議さを改めて感じます。

他にも、また異なる発見が。秋の季語に、「おがみたろう」が、あるのです。もちろん、カマキリのことです。
「おがみたろう」が季語ということを知り、「この言葉が方言として一部の地域で使われるようになるまでには、何百年にもわたる長い年月があったのだろうか…」ということも少し考えたりしました(これもあくまで、個人の推測です)。

話が色々な方向に脱線してしまいましたが、 長崎のことばについて知ることが意外な発見につながっていて面白かったです。まだまだ色々調べてみたいと思います。


・参考文献…西島宏(1956):長崎県方言語彙の一考察 ―その分布を中心として― p53.

1 件のコメント:

  1. 長崎人だけど、初めて知りました。それと、質問なんですですけど、オガミタロー以外に神父とも呼ばれると言うのは本当なんですか?

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