2014/09/30

長崎弁の話 その3。 ~ちょっと不思議な(?)方言「よか」~

今回は、長崎弁の話。ある形容詞をピックアップしていきます。

…と、その前に。ここで長崎の方言における形容詞の特徴について、ちょっとした説明をしておきますね。

長崎の方言における形容詞について、著:坂口至氏「長崎県のことば」(明治書院)では、般的に形容詞の終止形には、「カ」を用いる(「カ語尾」)という特徴があることがあげられています(ちなみに、対馬では「イ語尾」が用いられる とのことです)。

例えば、「楽しい」は「楽しか」、「おもしろい」は「おもしろか」、「暑い」は「暑か」、といった活用形になります。 このことを、頭の片隅にでも良いので覚えていただけたらと思います。

最近、「県外の方が意味を理解するのに戸惑ってしまうのでは?」と思うようなことばがあることに気が付きました。それが、「よか」。僕自身もよく使いますが、本当に使う場面が多いんですね。

たとえば…、

例1.

A:「明日の天気はどげんね?」(明日の天気はどう?)

B:「明日は晴れるげな、日傘ば持って行ったらよかばい。」(明日は晴れるそうだよ。日傘を持って行ったら良いよ。)

ここでは、「良い」という意味で「よか」が使われています。これは前述の長崎弁における形容詞の特徴からもピンとくるのではと思います。さて、「え、戸惑うことがあるの?」と疑問に思った方がいらっしゃったのでは…?

ということで、次のやり取りです。

例2.

A:「カステラば貰ったとばってん食べる?」(カステラを貰ったんだけど食べる?)

B:「今お腹いっぱいけんがよかばい。」(今お腹いっぱいだからいらないよ。)

ここで使われている「よか」は、決して「良い」という意味ではありません。ここでは、「いらない」という意味と考えてもらえたらと思います。驚いた方もいらっしゃるかと思いますが、「必要がない」ということを伝える場合にも、「よか」を使います。

2つの短いやり取りを読んでお気づきかと思いますが、それぞれのやり取りで、「よか」の意味が異なっています。

ここでは文章で表しているので、「よか」の意味を推測しやすかったかもしれませんが、もし県外の方が実際に耳にすることがあれば、「?」マークが頭に浮かんでくるかもしれませんね。

肯定的な意味で使われたり、否定的な意味で使われたり…、普段から長崎弁で話すことが多い僕も、この言葉については不思議だなと思わずにはいられなくなりました。

長崎のことばの面白さ、不思議さにますます惹かれていきそうです。

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